
北極圏スヴァールバル諸島に残る旧ソ連の炭鉱街ピラミデン。永久凍土の上で時を止めた廃墟の街と、広場に佇むレーニン像を追ったドキュメント写真集。表紙は鮮やかな朱赤の地に写真をはめ込み、左右に英字と漢字でタイトル・著者名を縦に走らせる。中央の写真は、レーニン像の後頭部越しに集合住宅と氷河、雪山を望む構図で、被写体の沈黙と背景の広大さを一枚で語る。赤い枠が凍てつく風景を切り取り、消えた国家の残響を一冊に閉じ込めている。

著平野紗季子
装丁大島依提亜
装画Alexis Ralaivao
新潮社 / 2024年
暮らし・健康・子育て