
書中の存在「アルタッド」へ捧げられる、書き手と書かれた者のあいだを往還するような小説。クリーム色の地に、墨で描かれた黒い楕円、切り抜かれた白い紙片、淡い青のドット模様、繊細な鉛筆線が層を成すコラージュが据えられている。赤い手書きふうの題字が画面上半に置かれ、紙そのものの白さを際立たせる。描かれたものと切り取られたものの境界が揺らぐ装画は、虚構が静かに現実へにじみ出す本書の手触りを先取りしている。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論