
戦後日本の憲法制定をめぐる占領下の駆け引きを、占領する側とされる側双方の視点から描いた長篇小説。表紙はくすんだ朱赤を地色に、軍帽とサングラスにパイプをくわえた人物、口髭の人物、その間に立つ眼鏡の小柄な人物の三人を、灰青のグラデーションと黒の輪郭で版画調に描き起こす。GHQ の三文字は紙面を圧する大きさで黒く据えられ、和文タイトルと著者名は白の細い明朝で脇に小さく寄り添う。誇張気味のカリカチュアと抑えた色数が、史実の重みと人間臭い駆け引きの両方を一枚に閉じ込めている。
著角田光代
装丁岡本歌織
装画合田里美
文藝春秋 / 2018年
文学・評論