
京都を舞台に名探偵キングレオこと天親獅子丸が難事件に挑むミステリシリーズの一冊。シャーロック・ホームズの系譜を継ぐ古典推理の趣を、現代的な感性で描き直す。表紙はモノトーンに沈めた二人の青年像を中央に据え、書を手にする青年と帽子を被った青年の対比が静かな緊張をたたえる。上部に明るい青で英題、右下に鮮やかな黄で和題を縦組みに重ね、淡彩のイラストへ三色のコントラストで物語の活劇性を呼び込む。沈着と躍動の同居が、頭脳と冒険を等価に置く本作の佇まいに通じている。
著古市憲寿
装丁大久保明子
カバー写真榎本麻美
文藝春秋 / 2018年
文学・評論