
誰にも言えない居心地の悪さや寂しさを抱える人々を描いた、7篇の短篇集。淡いクリーム色の空に、長い首をしならせる恐竜の背中。その上には小さな人影がぽつりと腰かけ、輪をまとう惑星や漂う球体、白い粒子が周囲を巡る。輪郭をやわらかくにじませた水彩のタッチが、時間とも宇宙ともつかない奥行きを呼び込む。乗り遅れたと思っていた場所で、ふと隣にだれかがいたことに気づく――そんなまなざしを、一枚の絵が静かに引き受けている。
著芦沢央
装丁城井文平
カバー写真Flora Borsi
文藝春秋 / 2019年
文学・評論