
須賀敦子の代表作17編を編んだアンソロジー第一弾。ミラノで出会った友人たち、夫ペッピーノとその家族、心に刻まれた父と母――懐かしい人々の姿が静かに立ちあがる作品集である。表紙には淡い灰緑の地にオリーブの枝葉と黒い実が密やかに広がり、二羽の小鳥が枝に止まる。和紙のような風合いの背景に手描きの筆致が重なり、文字組は控えめに右側へ寄せられている。植物と鳥の穏やかな気配が、遠い記憶を辿る散文の静けさにそのまま重なっていく。
著HillenbrandTom、赤坂桃子
装丁水戸部功
河出書房新社 / 2016年
文学・評論