
近代文学を代表する書き手たちが「女体」を主題にしのぎを削った八篇を、漫画家でもある編者が選び、自ら装画を手がけたアンソロジー。表題は晩年の女の翳りを描いた一篇から採られている。生成りがかった淡い地に、銀鼠の髪を結い上げ橙の小袖をまとった女が、紅い菊唐草の裾を引きながら頬杖をつくように指先を口元へ運ぶ。タイトル箱は白く抜き、朱の罫と明朝の重みで人物像を引き締める。成熟した肉体と季節遅れの花の意匠が、文学の艶と陰翳をそのまま一枚絵に置き換えている。

著中村文則、山崎ナオコーラ、朝井リョウ、円城塔、窪美澄、佐川光晴
装丁山影麻奈
装画嶽まいこ
中央公論新社 / 2020年
文学・評論