
届かないかもしれない祈りを抱えながら、それでも誰かに伝えたい想いを綴る青春小説。フェンス越しに広がる夜空を見つめる制服姿の少女が画面中央に立ち、青から薄紫へと滲むグラデーションと細かな光の粒が背景を満たす。タイトルは細めの明朝体で空に重ねて配され、背後には淡く滲んだ大ぶりの和文がレイヤーとして浮かび、奥行きと余韻を生む。閉ざされたフェンスの先に開ける光景と、文字の透ける重なりが、届かぬ言葉を抱える物語の余白を静かに引き寄せる。

著和智正喜
装丁百足屋ユウコ+モンマ蚕
装画motai
KADOKAWA / 2016年
文学・評論