
女性たちの身体と欲望を多面的に描いた短篇集。表題作をはじめ、生きづらさを抱える日常の裂け目を、静かな筆致で照らし出す。漆黒の地に、薔薇、アネモネ、ラナンキュラスといった花々が緻密な細密画調で咲き並ぶ。真珠のような白い粒が縦の連なりとなって闇を貫き、花束のあいだに光の筋を生む。中央には縁を細い植物模様で囲った楕円の白い短冊が置かれ、明朝体のタイトルと著者名を静かに受け止める。闇に咲き、闇を抱く花々の艶やかさが、肌をさらすことの重みと甘やかさを同時に手渡してくる。

著大宮エリー
装丁新潮社装幀室
装画五月女ケイ子
新潮社 / 2018年
文学・評論