
クリスマス間近、雪の降る朝に中学校の屋上で見つかった少年の遺体——「事件」編の後半は、級友たちの証言と沈黙が絡み合い、学校という小さな共同体が静かに軋んでいく。カバーは、誰もいない教室の窓越しに夜の街を見下ろす構図。机と椅子の影が手前を占め、その向こうにイルミネーションのツリーや観覧車、雪の舞う住宅地が淡い光で描き込まれている。室内の暗さと窓外の灯りの対比が、子どもたちが抱えた秘密と、その外側で営まれる日常との距離を物語る一冊。
著吉田修一
装丁新潮社装幀室
装画大野博美
新潮社 / 2017年
文学・評論