
誰かと再会したい——そんな祈りにも似た願いを抱える人々の物語。光に満ちた森のなかで、誰かを待つように、あるいは探すように佇む人物の後ろ姿が静かに描かれている。緑の濃淡で重ねられた木々と葉は水彩の柔らかな筆致で、白いシャツが木漏れ日のように画面の中央に灯る。手前を横切る一本の枝が視線を奥へと導き、奥行きと時間の流れを感じさせる。タイトルは余白を保った白地の枠に明朝で控えめに収められ、絵の透明感を損なわない。会えない誰かを想う物語の余韻が、装丁全体の淡い光のなかにそっと留められている。
著パリッコ
装丁板倉洋
カバー写真成田伸也
光文社 / 2023年
文学・評論