
南洋の孤島で、長寿をもたらすという稀少な亀をめぐる科学者の手記。栄光と倫理がゆるやかに裏返る長編小説である。黒い闇の中央に、手足を広げた一匹の亀が浮かぶ。甲羅には青、黄、朱、緑のトロピカルな葉が鮮やかな筆致で重ねられ、ジャングルそのものが背に宿ったかのよう。白い和文タイトルの下を、朱色の英題が静かに横切る。生き物と森とを一つの輪郭に閉じ込めた装丁が、物語の核をそのまま象っている。

著大沢在昌
装丁坂野公一
カバー写真Robert Mooney+gettyimages
光文社 / 2014年
文学・評論