
その年に発表された日本SF短編から、編者が選り抜いた傑作群を収めるアンソロジー。書き手の名が縦に連なるリストは、現在進行形のジャンルの地図そのものでもある。表紙はくすんだ青と桃色を基調にした手描き風のイラストレーションで、雪原のような風景のなか、帽子をかぶった人物が静かに佇む。タイトルは縦組みで大きく置かれ、画面下には「またSFが死んだらしい……」「では、この傑作群はいったいなんなのか」という挑発的な惹句が黄と白で重ねられる。穏やかな絵と煽情的なコピーの対比が、ジャンルの現在地を逆説的に照らし出している。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論