
江戸の居酒屋「ぜんや」を舞台にした人情小説シリーズの一冊。鮎そうめんを始めとする季節の料理が、店に集う人々の暮らしや機微とともに描かれる。表紙はイラストレーションで、深い藍を背景に上部には町並みと和装の人物たち、下部には膳に並んだ料理の数々——焼魚、すいか、玉子の彩り——が俯瞰で配される。木目調の枠と和文様の縁取りが額装のように画面を引き締め、中央に縦組みの白い題字が伸びる。舞台と食卓を一枚の絵に畳み込み、開く前から店の賑わいと匂いが立ちのぼってくるような装丁。
装丁関口信介
装画Minoru
Minoru / 2013年
文学・評論