
家族の介護をめぐる絶望と愛憎が二転三転する、女性の人生を描く長編サスペンス。表紙には、白いワンピース姿の女性が裸足で水辺を歩く絵画的なイラストが大きく配され、足元には赤い花のような滲みと、水面に揺らぐ反射が描かれる。背景は淡い水彩のような筆致で、青と白の冷たい色面に陽の射すような明るさも混ざる。タイトル「首の鎖」は太い明朝で右上に黒々と置かれ、画面のやわらかさを断ち切るように据わる。穏やかな絵肌と硬質な文字の落差が、物語に潜む見えない束縛を静かに告げている。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論