
古い町家の前に、白い手ぬぐいを巻いた女性を中心として、学童帽の少年や幼子、老人、奉公人らしき人々が肩を寄せて集う。家族や働き手を率いて生きた一人の女の物語を想起させる。表紙は浮世絵の系譜を引く繊細な線描と、抑えた緑と褐色の画面のなかで、女性の朱の前掛けがひときわ視線を引き寄せる構成。足元の三毛と虎猫、右端の白い鶴が、暮らしの厚みと小さな祝祭性を同居させる。題字は太い筆勢の黒で大きく据えられ、騒がしい一群を背に静かに立つ姿に「日本一」という言葉の重みを返している。
装丁山田満明
装画こより
山田満明 / 2014年
文学・評論