
ベテラン作家と編集者の言い争いに、書かれているはずの登場人物まで乱入してくる——物語が生まれる現場そのものをめぐる五〇篇の短篇集。黒地の表紙には、宇宙服姿でフォークを掲げる小人、TOMATOとTUNAの缶詰、UFOに照らされたスープ皿、トーストや恐竜が並ぶ食卓のイラストが鮮やかな色面とポップな線で描かれる。日常の朝食に時空の歪みが混入したような構図が、書名の「三万年後」という途方もない時間感覚と響き合い、収められた物語の奇妙な可笑しさを予感させる。
著和田靜香
装丁アルビレオ
装画いちろう
左右社 / 2023年
ノンフィクション