
里山に潜む不思議な出来事や民俗的な気配を、三人の書き手が綴る怪異譚集。日常のすぐ隣にある森や水辺の闇から立ち上がる物語が、淡々と語られていく。漆黒の地に、白い蜻蛉、咲き乱れる花々、せせらぎを覗き込む人影が銅版画のような細密な線で描かれ、金や青の差し色が夜気の湿り気を帯びる。タイトルの白い明朝が静かに据えられ、闇に浮かぶ光景と響き合う。暗がりに目を凝らしたときに見えてくるものを、装画がそのまま掬い取っている。

著長谷敏司
装丁草野剛+草野剛デザイン事務所
装画redjuice
KADOKAWA / 2018年
文学・評論