
夜の参道を舞台に、人と妖、童の姿を借りた存在たちが交差する連作の二巻。座敷童子を「代理」するという発想を軸に、土地に宿る小さな神々や生きものたちと人間が結び直されていく物語を予感させる。表紙は朱塗りの鳥居を画面両端に置き、奥行きのある石畳の参道を見下ろす構図。和装の人物の足元には狐や蛙、狸、招き猫めいた獣たちが集い、宙には淡い水色の光球がいくつも浮かぶ。夜の藍と提灯の橙、紅葉の朱が柔らかな筆致でまとめられ、タイトル文字は水色のアウトラインで霊気のように浮き上がる。賑やかでありながら静謐な祝祭の気配が、物語の親しみやすさと幽けさを同時に伝えてくる。

著東田直樹
装丁albireo
装画高杉千明
KADOKAWA / 2019年
文学・評論