
執事を主題にしたシリーズの番外編にあたる一冊。淡い緑を背景に白百合と細い葉が散り、白系のスーツに身を包んだ三人の青年が静かに向かい合う水彩タッチの装画が、柔らかな光とかすかな緊張をともに湛えている。縦組みで大きく置かれた明朝のタイトルは余白を生かして抑制が利き、中央に小さく添えられた「EX」のマークが番外編であることをそっと示す。淡色と植物が画面につくる涼やかな空気が、礼節ある人物たちの距離感をそのまま映し取っている。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論