
スウェーデンの小さな村で起きた大量殺人事件を発端に、過去と現在、ヨーロッパとアジアを横断していくミステリの上巻。雪に閉ざされた夜、深い藍緑の闇のなかに赤い木造家屋がぽつりと浮かび上がり、街灯の下にひとりの人影が立ち止まる。柔らかな筆致の絵画に白い明朝体の縦組みを重ね、足元には淡く滲んだ「KINESEN」の文字が雪のように沈む。静けさのなかに不穏を孕んだ装画が、遠い土地から運ばれてくる物語の気配をそのまま閉じ込めている。

著ChestertonGilbertKeith、南条竹則
装丁山田英春
装画千海博美
東京創元社 / 2017年
文学・評論