
廃墟と化したテーマパークに佇む奇怪な屋敷を舞台に、深夜侵入した一行が異形に襲われる本格ミステリ。シリーズ第三作にあたる長編で、閉ざされた邸宅と消えゆく人々の謎が描かれる。深い緑を基調にした表紙には、鉄柵の向こうからこちらを見据える少女が緻密な絵で配され、翡翠色の瞳と、手にした古い鍵が静かな不穏さを伝える。タイトルは縦組みの黒い明朝で右側に大きく沈め、絵の重さと釣り合わせている。閉じられた門の鉄細工と少女の眼差しが、入ったが最後の物語の入り口そのものとして立ち上がる。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論