
19世紀ニューヨークを舞台に、二つの心臓を持つという秘密を抱えた少女が連続殺人事件に巻き込まれていく、医学史とゴシック・ミステリを織り交ぜた長編。表紙には満月を背にした長い黒髪の少女が描かれ、胸に大きな鏡のような円盤を抱え、夜空にはコウモリらしき影が舞う。タイトルは細い白の明朝体で静かに据えられ、下部に置かれた赤地の帯では、躍るような筆致の黄色い書き文字が扇情的な惹句を放つ。月光の青と血の赤、静と動の対比が、少女の宿命を一枚の画面に凝縮している。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論