
冬眠が常識となった世界で、目覚めと眠りの境界をめぐる物語、その下巻。原題は「EARLY RISER」、夏空に雪が降るという反転した季節感覚が、邦題のなかにも息づいている。表紙は夜の海辺らしき情景に、ストライプのマットとパラソル、身を寄せ合うふたりを描いたイラストレーション。深い藍のなか、遠景の街灯と無数の白い粒子がまたたき、夏と雪、覚醒と眠りが二重写しに重なる。淡く溶けるように置かれたタイトル文字が、その境界の曖昧さを静かに引き受けている。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論