
事故で記憶を失った少女トリスが、自分の正体に違和感を抱きながら家族の秘密と異界の影に近づいていく、英国作家による暗く静かなファンタジー。表紙は深い茶褐色を背景に、白いワンピースの少女がワイングラスの縁に立ち、頭部からは黒い鳥たちが燃えるように飛び立つ構図。足元のグラスに満たされた赤い液体と、宙に散る羽根の細密な筆致が、儚さと不穏さを同居させる。タイトルの白い明朝が画面左に静かに添えられ、絵の物語性を引き立てている。

著Hardinge、Frances、児玉、敦子
装丁大野リサ
装画牧野千穂
東京創元社 / 2020年
文学・評論