
紐結びの魔道師三部作の完結篇。死の谷から生還した青年リクエンシスが、帝国と魔女国を巡る長い旅の終着点へと向かう物語。表紙は深い紺地に、緑と金で織り上げられた模様が画面を埋め、中央の円形窓には剣を掲げる人物像が浮かぶ。模様の連なりは「紐結び」というモチーフの隠喩のように、画面全体を編み目状に覆っている。装画の細密さと地の暗さが対比し、円窓の内側だけが灯のように照らされる構図。物語の幕引きにふさわしい、重みと静けさを湛えた一冊。

著瀬那和章
装丁西村弘美
装画西尾ナノラ
東京創元社 / 2017年
文学・評論