
平安の女房装束をまとった女性が、ノートパソコンに向かいフラペチーノらしき飲み物を傍らに置いてカフェのカウンターに座っている——千年前の日記文学を、現代の作家が"本人の声"として訳し直した一冊。淡い若草色を基調に、線描中心のイラストで店内と人物を軽やかに描き、十二単の赤や緑だけが色面として浮かび上がる構図。題字は縦組みの明朝で枠囲みされ、古典の厳めしさよりも雑誌のような軽さを纏う。古い時間と今の風景が同じ画面で平然と隣り合う、その距離の取り方が装丁全体を貫いている。
著斉藤詠一
装丁菊池祐
装画サイトウユウスケ
実業之日本社 / 2023年
文学・評論