
プルーストの大長編『失われた時を求めて』第二篇を、フランスで版を重ねるバンド・デシネで読み解いた一冊。海辺の保養地で語り手が出会う少女たちの姿を、繊細な線と淡彩で描き直している。表紙は、ベージュの地に海岸線と崖、浜辺を歩く少年を遠景として配し、上部に少女のポートレイトと飛翔する海鳥のコマを置く構成。茶系のタイトル文字、譜面のように流れる五線、青い波の連なりが、視線を画面の奥へと誘う。文学とコミックの境を、静かな色調で橋渡しする装いに仕上がっている。
著いとうせいこう
装丁佐藤亜沙美
河出書房新社 / 2014年
文学・評論