
19世紀末ヨーロッパを舞台に、首だけの少女探偵と従者、メイドが怪奇事件に挑む連作ミステリの第一巻。表紙では、鳥籠を抱えた青年と、繊細なレースのヴェールに覆われた少女が並び立ち、背後には朽ちた西洋建築の影が滲む。鈍い銀や深い緑、紫を含む暗色の絵具がにじむように重ねられ、装画は水彩と細密描写を往き来して亡霊めいた質感を生む。タイトルは縦組みの明朝で右端にすっと収まり、画面の物語性を邪魔しない。怪異と推理、退廃と耽美が地続きであることを、一枚の絵が静かに告げている。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論