
スティーヴン・ミルハウザーの短篇集。緻密な筆致と奔放な想像力で、夜の闇の奥から立ちのぼる声に耳を澄ますような8篇が収められている。深いグレーの地に、白い線描で大きな円を抱えてうずくまる人物が描かれ、輪郭はかすれた一筆書きのように軽やかでありながら、人物のフォルムには確かな重さが宿る。英題と著者名は線画に重ねて控えめに置かれ、帯のベージュと余白の白がグレーの夜を一段深く沈める。線一本で夜の気配を可視化した、静謐な装い。

著CarriónJorge、野中邦子
装丁仁木順平
装画西脇光重
白水社 / 2019年
文学・評論