
江戸の出直し神社を舞台に、たね銭を貸して人々の縁を結び直す娘・くら姫を描く時代小説。淡い水色の空に椿、桜、菊が咲き重なる華やかな背景に、白い小袖に若草色の袴、下駄を履いた娘が茶を載せた盆を手に佇む構図。線の細い淡彩のイラストレーションが、和の意匠と少女の凛とした表情を柔らかく描き出している。タイトルの「くら姫」は手書き風の太い墨字で大きく置かれ、副題と書名が縦組で添えられて、季節を抱えた物語の気配を表紙に立ち上げている。

著樋口明雄
装丁高柳雅人
装画高田裕子
角川春樹事務所 / 2021年
文学・評論