
特殊殺人対策官・箱崎ひかりを軸に据えた本格警察ミステリで、身元不明の遺体をめぐる事件と元警察官僚の作家が描く緻密なリアリズムが交差する一冊。カバーは天井を見上げたモノクロの幾何学的な構図に、朱赤の太い明朝で「身元不明」の四文字を大きく据え、英題「Jane Doe」やルビ、著者名を細い赤の欧文と縦書きで重ねる。下部には黒地に白抜きと赤の惹句、推薦文を新聞紙面のように敷き詰め、情報量の密度そのものを意匠化している。匿名の遺体に注がれる無数の視線を、見上げる天井と紙面の喧騒で立ち上げた装丁。
著土橋章宏
装丁谷口博俊
装画須田悠
筑摩書房 / 2017年
文学・評論