
神保町の古書店を舞台に、亡き伯父の店を継ぐことになった女性と、その姪をめぐる人々の物語。本と食を媒介に、世代や立場の異なる人々がゆるやかに交わっていく長編小説である。クリーム色の地に、上段には五目焼きそばと思しき一皿、下段には水色・朱・深緑の三冊が積まれた書物が、線の柔らかな手描き風のイラストで配される。タイトルと著者名は中央に小さく、余白を十分に取った穏やかな構成。皿と書物を上下に並べる構図そのものが、食べることと読むことが等価に並ぶ作品世界を静かに告げている。

著柿本みづほ
装丁アルビレオ
装画名司生
角川春樹事務所 / 2022年
文学・評論