
東京で暮らす日々のささやかな「あたふた」を、軽やかな筆致で掬い取るエッセイ集。クマ、ウサギ、湯のみ、ソフトクリーム、サボテン、ネコ、イカ──九つのキャラクターが汗をかきながら戸惑う姿が、3×3のグリッドに並ぶ。鮮やかなターコイズの地に蛍光イエローグリーンを重ね、輪郭線だけで描かれた手書き風のイラストが浮かび上がる。タイトル文字は上部に控えめに置かれ、余白が呼吸の間をつくる。慌てふためく日常を、どこか他人事のように眺めてしまう距離感が、表紙の脱力したユーモアと静かに響き合っている。

著平野紗季子
装丁大島依提亜
装画Alexis Ralaivao
新潮社 / 2024年
暮らし・健康・子育て