
早川書房のSFシリーズ「Jコレクション」から刊行された長編。母と子、そして自らの身体や世界の成り立ちをめぐる思弁的な物語が、線の細い人物描写と機械的なモチーフの対比で立ち上がる一冊。表紙は淡いグレーを基調に、薄紫の石畳めいた割れ目模様を地紋として敷き、その上で逆さに横たわる人物と、画面右上から侵入してくる精緻な機械の塊、中央に立つ青いシャツの人物を配置する。手描き感のある均質な線画と、抑えた配色のなかで差される淡いピンクや水色が、硬質な題字を柔らかく中和している。地面に伏す身体と機械の重力感が、書名の「礫」という一字に静かに呼応する。
著乙一
装丁有馬トモユキ
装画loundraw
集英社 / 2021年
文学・評論