
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を、カムパネルラの視点から語り直した長編。深い夜の色を地に、金と銀の細い線で左右対称に描き込まれた装飾画が一面に広がる。中央に立つ小さな人影、両脇に立つ柱、散りばめられた星と月と植物、足元には向かい合う二台の蒸気機関車が、紋章かタロットのように整然と配される。右側は対照的に白地のまま大きく余白を残し、縦組みの題字を静かに置く。緻密な図像と引かれた余白の対比が、もう一度語り直される夜の旅の気配を、表紙のうちに静かに告げている。
著鄭梨賢、斎藤真理子
装丁佐々木暁
カバー写真原久路
河出書房新社 / 2020年
文学・評論