
古典の現代語訳シリーズの一冊で、作家による新訳として平家の興亡を語りなおす試み。語りの呼吸を生かした文体で、滅びゆく一門の声が立ち上がる。表紙は、おかっぱ髪に白い襟を覗かせた赤い装束の少女たちが画面いっぱいに肩を寄せ合い、こちらをまっすぐ見据える絵画。一人ひとり微妙に違う面差しが整然と並ぶ群像の上に、明るい青で書名と著者名が大きく重ねられ、赤と青の張りつめた対比をつくる。無数の眼差しに見つめ返される感覚が、滅びを記憶し続ける物語の体温へと読者を引き寄せる。
著古川日出男
装丁佐々木暁
装画松本大洋
河出書房新社 / 2024年
文学・評論