
失くしたものが流れ着くという、どこか懐かしくも不穏な店を舞台にした怪異譚。少年が迷い込んだ先で出会うのは、忘れられたモノとそれにまつわる人の記憶——そんな民話的世界が広がる連作短編集だ。カバーは駄菓子屋めいた店内を俯瞰気味に描いたイラストレーション。瓶詰めの飴や箱菓子が並ぶ赤と橙の暖色の棚を背景に、青い着物の少年が静かにこちらを振り返る。足元の床には青い花弁が散り、水面のように店主らしき顔が薄く浮かぶ。タイトルは縦に大きく赤で抜かれ、四隅の唐草模様の縁取りが、現実と異界の境を額装するように囲っている。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論