
古代中国の宮廷を舞台に、薬膳の知識を持つ妃と皇帝のあいだに芽生える縁を描く文庫シリーズの一冊。淡い水彩で描かれた二人の人物が中央に配され、女性のまとう薄紫から白へと流れる衣の裾には、青と紅で織り出された幾何文様の帯が覗く。背景には棗の実をつけた枝葉が伸び、白い余白に紅の実と緑が点在することで装画全体に呼吸が生まれている。タイトルは縦組みで右上に置かれ、深い藍紫の楕円があしらいとして添えられ、繊細な線画と物語の含む薬草のモチーフが穏やかに重なり合う一冊。

著古木和真
装丁川名潤
装画alma
KADOKAWA / 2017年
文学・評論