
鮮烈なオレンジに塗り潰された駐車場を背景に、スーツ姿の女性が片手に凶器らしき長いものを提げて立つ。誰かを殺してもおかしくない世界で実際に手を下す「ミノタウロス」を巡る思考実験的なミステリー。装丁は朱赤一色のフラットな地に、車輪止めや白線が落とす長い影をモノクロの線画で描き込み、人物だけに黒のスーツと白シャツの強い陰影を与える。タイトルはカタカナを縦に大きく切り抜き、足元に英題と短い英文要約を小さく沈める。色と線が二極化した画面そのものが、合理と不条理の境界線を可視化している。
著焦田シューマイ
装丁川谷康久
新潮社 / 2025年
文学・評論