
夢と現実の境を軽やかに越えてゆく筒井康隆の作品集。表題二篇のほか、寓話と諧謔の入り混じる物語が収められる。装画は雲を従えて宙に浮かぶ巨大なメロンの群像で、その一つに腰かけた小さな人影と、谷あいに建つ切妻屋根の家が遠近のスケールを攪乱する。網目の細密な描写と土色の田園、淡い青空が古い銅版画めいた質感を生み、題字は明朝の縦組みで右上に静かに置かれる。荒唐無稽と緻密さが同居する筒井文学の手触りを、画面そのものが体現している。

著ConradJoseph、高見浩
装丁新潮社装幀室
装画影山徹
新潮社 / 2022年
文学・評論