
料理が下手だった主人公が「料理は愛情」という言葉に苛立ちながらも台所に立ち続ける、愛と迷走の料理小説。表紙は、エプロン姿で包丁を手にした女性が大きな白熊の上に立ち、林檎やトマト、目玉焼き、調理器具がリボンのような赤い線で繋がれて舞う線画イラスト。淡いピンクとくすんだ赤を基調に、手描きの題字が画面左上に縦に置かれ、白の余白を多く残した軽やかな構図に仕立てている。可笑しみと不安定さが同居する装画が、料理をめぐる小説のおぼつかない手つきと重なる。

著山田詠美
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文藝春秋 / 2019年
文学・評論