
夏の終わりという季節の境目に立つ少年少女の、痛みと祈りを抱えた青春小説。少女が砕けた地面の上を駆けていく一枚の装画が、物語の不穏と疾走をそのまま視覚化している。藍とすみれ色に沈む雲、地平に滲む夕焼けのオレンジ、白い断片の散らばる足元——タイトル文字は赤と白の縦組みで、画面右側を貫くように据えられ、絵の余韻を断ち切らずに重ねる。崩れていく世界の上を走り抜ける後ろ姿に、タイトルが告げる過激な仮定が静かに重なって響く。

著斜線堂有紀
装丁カマベヨシヒコ
装画くっか
KADOKAWA / 2018年
文学・評論