
ふと立ち寄った居酒屋で、軽い一杯のつもりがいつしか深い場所へと連れていかれる──そんな日常の綻びを描いた小説。表紙には、酒席をやや上から見下ろした俯瞰の構図でテーブルを囲む人々が描かれ、料理の皿やジョッキ、うつむき加減の頭頂部が連なる。全体は琥珀色のグラデーションに染め抜かれ、ビールの色か、ほろ酔いの視界そのもののようでもある。タイトル文字は明朝の白抜きで大きく置かれ、賑わいの底に潜む不穏を、温度のある色のなかに静かに沈ませている。
著横関大
装丁菊池祐
装画岸あずみ
小学館 / 2023年
文学・評論