
中国SFの新たな旗手による短篇集。時間をめぐる七篇が、宇宙的スケールと個の意識を往還しながら、SFという形式の可能性をひらいてみせる。表紙には、東洋的な龍を思わせる赤い獣が、群青の宇宙空間のなかで身をくねらせる装画。朱・群青・金の三色が複雑に絡みあい、白抜きの極太明朝で「時間の王」のタイトルが画面に据えられる。腰巻には「俺は時間の王だ」の一文が独特の書体で大きく踊り、装画の熱量とぴたりと呼応する。時間を統べる者の傲岸と幻惑が、一枚の絵にすでに宿っている。

著Chris Whitaker
装丁早川書房デザイン室
装画たけもとあかる
早川書房 / 2024年
文学・評論