
アフガニスタンを起点に、引き裂かれた兄妹とその周囲の人々の人生が時代と国境を越えて響き合う長編の下巻。前作『カイト・ランナー』『千の輝く太陽』に続く、家族と記憶をめぐる物語の結節点である。淡い水色の空と白い雪嶺、褐色の大地、そして手前に広がる桃色がかった土の重なりが、絵筆の筆致を残したまま地層のように積み上げられる。荒れた地面の中央に一株だけ芽吹く緑が小さく描かれ、断絶のあとに残るかすかな生のしるしを、装画の静かな色面が引き受けている。

著LivioMario、千葉敏生
装丁金井久幸
カバー写真Masters+Getty Images
早川書房 / 2015年
社会・政治