
人間関係のひずみに苦しむ人々を描く長編小説。「他人を殺す。自分を殺す。」という帯の言葉が示すように、心の傷から生まれるサスペンスとして読み解かれている。カバーは雨上がりの水たまりに映る人影とビル、電線を切り取ったモノクロームの写真。逆さに反転した像は曖昧で、波紋に揺れて輪郭を失っている。上半に白い余白を大きく取り、明朝体のタイトルを縦組みで配して静謐な構図にまとめた。腰を覆う黄色い帯だけが緊張感を持って差し込まれ、揺らぐ水面のような不確かさと、そこから踏み出す一歩の重さを表紙そのものが体現している。

著梶よう子
装丁新潮社装幀室
装画山本祥子
新潮社 / 2019年
文学・評論