
国境を越えた友情と青春を描く長編小説。パスポートの色によって分かたれる若者たちの揺らぎを、空港という越境の場に重ねて描いた一冊。表紙は青を基調にした繊細なイラストレーション。ベンチに背を合わせて腰掛けるふたりの女性、ピンクのスーツケース、ガラスの向こうで離陸していく飛行機が、水面のように反射する床へ淡く溶け込む。白抜きの明朝タイトルは、画面いっぱいの青の中に「緑」と「赤」という二色の名だけをそっと浮かび上がらせ、近くて遠いふたりの距離を装丁全体で静かに示している。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論