
淡いピンクの広い余白に、コートと赤いマフラーの人物が青と白の縞傘を畳もうとして佇む。足元には小さな影、右下には空の傘立て。雨上がりとも雨待ちともつかない時間が、一枚の絵としてそのまま置かれている。タイトルは手書きの太い黒文字で大きく刷られ、人物の小ささと対照をなしながら画面の右半分を静かに占める。英字の副題と縦書きの作者名が細い線で添えられ、全体に紙の白を多く残した構成。「しないこと」を主題に据えた物語の輪郭が、動作の途中で止まった姿と余白の取り方に重ねられている。
装丁アルビレオ
カバー写真石川祐樹
KADOKAWA / 2014年
文学・評論