
特殊な能力を抱えた若者たちが交差する、浅倉秋成によるデビュー長編の文庫化。記憶や知覚の歪みを巡るミステリ的構造のなかで、人物たちの孤独や賭けが静かに浮かび上がる。表紙は、青みを帯びた暗がりにトランプを手にした少女が浮かぶイラストレーション。前髪の下からのぞく視線が強く、肌に落ちる青い陰影と散らばるカードの赤が冷たい光のなかで響き合う。背景には縦書きの欧文タイトルが赤で重ねられ、白いカタカナの和文タイトルとの二層構成が、虚実の入り混じる物語の手触りをそのまま画面に映している。

著牧野修
装丁枡野考平
装画フジノ
KADOKAWA / 2016年
文学・評論